二級建築士版:エスキスを上達させるコツ 2.情報整理編

二級建築士試験
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はじめに

どうも、ユーリです。

本記事は「二級建築士試験」設計製図試験に向けて学習の際に多くの方がつまづくであろうエスキスについて解説します。

勉強すればするほどドツボにハマり抜け出せなくなっていくエスキス地獄、自分も受験生だった頃は自分のセンスの無さに絶望し課題を解くのが億劫になっていました。

しかも学科試験を突破するために一生懸命勉強して合格見込みとなったら即製図の勉強ですからね

今は受験制度も変わり5年間で3回まで製図受験可となっているため一回見送ってから製図初受験も可能ですが通学者はその選択を学校が許さないと思われます・・・。

作図は学習を続けていくうちに上達していきますが、エスキスは結構差が出てきます

エスキスを上達させたいやり方が分からない方の一助となればと記事を書いていきますのでよろしくお願いします。

※二級建築士は基本的に木造課題、3年周期でRC造課題が出題されます。

今回は木造課題をベースにしますので、RC造はまたの機会にまとめようと思います。

また、前回の記事の続きとなっているため順に読むと理解が深まると思います。

結論

  • 面積条件からボリューム算定表を描き出し、建物の規模(立体)を把握する。
  • 敷地条件・外部条件から計画可能範囲を描き出し、建物の規模(多角的・平面)を把握する。
  • 要求室等の条件よりエスキスイメージを描き出し、建物の用途(使われ方)を把握する。
  • 上記の計画に必要な3つの条件(情報)を整理し、プランニングにつなげていく。

理由

ボリューム算定

プランニング前の条件整理の一番目は「ボリューム算定」です。

これから計画する建物の容積を把握し、立体的な建物のイメージを掴みます。

試験で出される課題文には(3).延べ面積等 アに延べ面積は「○m2以上○m2以下」とする。

と、こんな記載があります、これは1.設計条件となるためこの面積の範囲外で建物を計画すると失格となってしまいます。

上記のことから面積条件を把握し、プランニングすることは非常に合格する上で外せないポイントとなります。

ただし、令和3年度の一級建築士設計製図試験では面積の範囲記載がありませんでした

この記事を書いている現在は令和4年、二級建築士試験も同じことがあっても不思議ではないかなと思っています。

とはいえ冷静に考えれば実務で面積指定してくる施主さんはいないわけです。

普段と違うことで動揺を誘いミスを誘発させようかなという試験元の思惑が見え見えなので

建ぺい率や容積率(記載あり)から大まかな数値を算出し、ボリューム算定しましょう。

試験である以上合否が分かれます、ですが合格できる人がいるということはどこかにその糸口はあるわけです。

それを焦って見落としてしまうと試験元の思うツボなので冷静に、深呼吸しましょう。

計画可能範囲

プランニング前の条件整理の二番目は「計画可能範囲」です。

これから計画する建物が敷地のどこに建てられるのかを把握します。

試験で出される課題文には(1).敷地に条件及び敷地図が書かれています。

これも1.設計条件となるためこの敷地の範囲外及び条件違反で建物を計画すると失格となってしまいます。

そんなことしないわ!ってなりますよね、でもいくつか落とし穴もあります。

1つ目は 高さ制限にかかってしまうこと。

2つ目は 軒先が越境(境界線を超えてしまうこと)してしまうこと

3つ目は 建ぺい率オーバー方位が真北ではない(見落とし)などの条件違反

このあたりですね、どれも法規違反で失格となってしまいます。

令和2年度では敷地南側2mの網掛け部分に建物の外壁を計画するのはNGと条件が記載されました。

要求室等で2階の部屋にバルコニーを計画する条件がこっそり記載され、気づかないままバルコニーを網掛けの範囲に計画してしまい・・・

と、こんな感じです。序盤に気づけばなんてことはないですが作図してからだと修正が大変なことになるのは容易に想像がつくと思います。

エスキスイメージ

プランニング前の条件整理の三番目は「エスキスイメージ」です。

この建物がどういう機能になるか、建物の用途を把握するために作成します。

試験で出される課題文には(5).要求室等に設置階・室名等・特記事項が書かれています。

ちなみに設置階違反は失格です、プランニングの肝でもあるため要注意。

特記事項には主に面積、家具・什器、動線、収納、部屋の機能が書かれています。

全部大事ですが、エスキスイメージを作成する上で必須となるところだけ抜粋すると

面積、広さ指定、動線、収納もしくはウォークインクローゼットの有無です。

この条件を文字から図にすることでプランニングの足がかりにするわけですね。

またまた過去問で例に出すと令和2年度では部屋数と特記事項が例年よりかなり多い年でした。

これは情報量を多くすることで整理しにくくし、ミスを誘発させようとしているわけですね。

具体例

ボリューム算定

まずは面積指定があると過程し進めていきます。

メートル↔ピッチの変換について

今更ですが面積はm2で指定されています、ですが木造はメートルでは扱いにくいです。

木造の場合寸法が1間を1820mm、半間910mm、1尺303mmとなっていてこのモジュールで材料も作られています。

なので通常使うメートルと木造で使う寸法の変換が必要になります。

ここではそれをピッチと呼び略称はP平方ピッチP2とします。

メートルからピッチに変換するためには1000↔910の関係を維持しなければならないため

寸法の変換は0.91を、面積の変換は0.8281(0.91×0.91)を使用し進めていきます。

計算例を出します。

1P=910mm 1m=1000mm では 1m=○Pでしょう。

この式は1÷0.91ですね、=1.09890…となり大体1m=1.1Pとわかります。

次は面積です、4m2=○P2でしょうか

この場合は4÷0.8281です、=4.8303…となり大体4m2=4.8P2となりました。

このように木造の場合は寸法の変換が必要となります。(RCは別です、そのままでOK)

ボリューム算定の出し方

ボリューム算定表ですが、下記表がそれにあたります。

建物の奥行1F
2F
下限値
中間値
上限値
8P
9P
ボリューム算定表 雛形

ざっとこんな感じです、見たことある人が多数と思いますが・・・

あまり詳しく書くと色々とあるのでポイントだけつらつらと並べていきます。

  • 上限値は計算結果から切り下げる、下限値は計算結果から切り上げる。
  • 中間値は計算結果から切り上げる。
  • 各階の主要室(大きい部屋、メイン)のP2を出す。
  • 中間値-(1・2Fの主要室のP2を合計したもの)÷2=各階水回りと廊下の面積(暫定)
  • 1F主要室合計P2+各階水回りと廊下の面積=1Fのボリューム(表の1Fの下に数値を入れる)
  • 2F主要室合計P2+各階水回りと廊下の面積=2Fのボリューム(表の2Fの下に数値を入れる)
  • 1Fと2Fのボリュームを奥行で割る、計算結果は四捨五入。
  • 8P行の1F+2Fを合計し×8=8P建物のボリューム(9Pも同様に記載)
  • 上限値-8P(9P)建物のボリューム=余り

なんのこっちゃだと思いますが、これ以上詳しく説明がいる場合はメールください。個別でもお答えします。

計画可能範囲

計画可能範囲の出し方は単純です、まず敷地図を確認し敷地の隣が何かを確認します。

そしてその種類によって敷地から建物の距離(アキ)を決めていきます。(あくまで暫定)

  • 隣地だった場合は1P(910mm)空けます。
  • 道路だった場合は2P(1820mm)空けます。
  • 南側は3P(2730mm)空けましょう、日照条件が良いため南側が隣地であっても3P優先です。

また、駐車場や屋外施設等の外部条件がある場合はその範囲も空けておきます。

大体目安ですが、これを守るだけでも大幅に高さ制限や越境のリスクは減るはずです。

エスキスイメージ

要求室等の条件文を図に直していく工程。

これも詳しく書くと色々あるのでポイントだけ下記します。

  • 玄関・階段・水回り・収納は10mm○
  • 廊下———————-
  • 主要室(メインの部屋)は20mm○
  • 面積や条件を簡単に記載していく。
  • 「直接行き来できるようにする」 → 廊下を介さずに行き来できるようにする
  • 「隣接させる」 → その部屋の隣にする。↓例外
  • ただし脱衣室の特記事項に「浴室と隣接させる」とあれば通常直接行き来レベル。
  • 日当たりに配慮・日照に配慮 → 南側に配置し開口(窓)を取ってください。

あとは書いてる最中に自分の意見を混ぜない(これこっちの方がいいかも的な)

あくまで機械的に並べていきましょう。

自分の意見をここで混ぜるとそれが設計条件なのか自分の考えなのかが混ざり訳が分からなくなる可能性があります。

おわりに

今回はここまでです。

文字ばっかりですいません、画像も後々更新して入れていきます。

木造に関する知識が全くないんですな人向けにこちらの書籍も紹介しておきます。

自分も教えるために購入しましたが木造知識ゼロベースでも分かりやすいと思うのでオススメします。

ただ、資格学校に通われている方はテキストがあると思うのでそちらを参考にしましょう。

あまり何でもかんでも手を出すと消化不良になる可能性もありますので。

ではまた。

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